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- 生殖毒性はあるのですか?
げっ歯類であるラットやマウスでは生殖毒性や精巣毒性が認められましたが、霊長類であるマーモセット(キヌザル)やカニクイザルでは精巣毒性は認められていませんし、生殖毒性も霊長類では発現しないと考えられています。
げっ歯類におけるこれまでの研究で、雌雄のマウスにDEHPを餌に混ぜて与え、同一ペアによる複数回の交配を行った結果144mg/kg/day(これは、体重60kgなら毎日8.6gも摂取することに相当します。前記Q3.で示したとおり、摂取量は0.12mg/日程度とされますので、その7万倍以上です)以上の投与で、不妊およびペア当たりの生存児数の低下が認められました。精巣毒性については、ラットやマウスに高濃度のDEHPを投与すると精巣の小型化などの影響があること、特に、幼若期には影響を受けやすいことも知られていました。
これまでに実施されたラットとマーモセットのデータではげっ歯類と霊長類とでDEHPの体内動態及び代謝メカニズムに大きな種差のあることが示されており、げっ歯類で得られたデータをヒトに適用できるとは考えられません。即ち、霊長類のマーモセットではMEHP(モノ-2-エチルヘキシルフタレート:DEHPの最初の代謝物)及びその代謝物をグルクロン酸抱合体として無毒化して速やかに排泄することがげっ歯類と大きく異なる点として知られており、ヒトの代謝物の殆どが抱合体である、との研究結果から、ラットとは異なった代謝機構を有すると考えられます。現に、これまでに公表された各国の評価書でも種差のあることが認められています。(EUのリスク評価書やCSTEEの評価、米国のCERHRの評価、また日本の産総研の評価文書)