
10月7日に環境省による平成14年度第2回内分泌攪乱化学物質問題検討会が開催され、平成13年度に同省において実施した環境実態調査の結果が報告されました。 報告内容は、全般的にこれまでの調査結果と大きな乖離が無いものでしたので、特段問題になったり、特筆すべき事項はありませんでした。 そこで、可塑剤工業会では、その中でフタル酸エステルとして最近規制された食品、添加物等の規格基準の改正(いわゆる手袋・おもちゃ問題)並びに室内濃度に関する指針値(いわゆるシックハウスガイドライン値)との関連において、食事中のDEHP含有量と室内空気中のDEHPとDBP濃度について実態調査結果を取り上げ報告いたします。 |
1.食事中のDEHPの含有量について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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*http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/06/s0611-5.html |
※考察 | (1) | やはり市販弁当からの検出は特殊なケースだった.。…・ DEHPが市販弁当から検出されたことにより、食事中のDEHPの存在が懸念されたわけですが、その後の調査で、「弁当を詰めるときに、輸入手袋をエタノール消毒して使用していた」特殊事情によることが明らかになりました。今回の調査で、食品中のDEHPはごくわずかであることが再確認されました。 |
(2) | TDI(耐用一日摂取量=一生涯摂取しても健康影響に問題ないとされる量)との比較における安全性…・平成11年に手袋問題が発生したときに、厚生労働省はDEHPのTDIを、各種の文献から一番厳しいデータを基に40~140μg/kg/日と設定しました。 このTDIの下限値 40μg/kg/日は、体重50kgの人で2000μg/日となりますので、現在の食品中の含有量は全く問題ないことがわかります。 |
2.室内空気中のDEHP、DBPの濃度について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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**http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/press/60A83300.HTM |
※考察 | (1) | 過去に比較して最大値は増えているものの、最小値も減っている。これは厳密にはコンタミネーション等測定精度の問題もあり判断しにくいが、総体的にはこれまで同様の濃度で推移していると思われる。 | |
(2) | 指針値との比較における安全性…・平成13年に厚生労働省が室内空気に係わるガイドラインということで、室内濃度に関する指針値を設定しました。この中で、DEHP及びDBPは次の通り定めらています。 | ||
DEHP 120μg/m3 | DBP 220μg/m3 | ||
今回の調査 0.023~3.4μg/m3 | 0.026~5.7μg/m3 | ||
従いまして、現状の使用においては、DEHP、DBPともに全く問題が無いことが再確認されたわけです。 |
以上、環境省の報告を基に述べましたが、需要家の皆様におかれましても正しいご認識のもと、従来通り安心してご使用頂くようお願いする次第です。 |
以上 |