ニュースリリース

欧州化学品規制REACHにおけるDEHP(DOP)最近の状況

「REACHデンマーク制限提案は棄却の方向へ。認可申請の準備は着々と進められている。」

昨年4月デンマークから提案された、REACH規制下でのDEHPを含む4種のフタレートに対する制限案は一度、欧州化学品庁(ECHA)から不適合の指摘を受け、再提案されて2011年9月正式に受理され、パブリックコメントが募集されました。世界各国利害関係者からのECHAへの意見書提出(可塑剤工業会ニュースリリース2011.12.26参照)を受け、ECHAのRAC(リスク評価専門委員会)及びSEAC(社会経済分析専門委員会)両専門委員会の検討結果を経て本年6月15日最終案が公表されました。

RACの結論:「4種のフタレートからの複合暴露によるリスクはなく、デンマークから提出された制限提案は正当化されない」
http://echa.europa.eu/en/web/guest/view-article/-/journal_content/926431e7-3a71-4f06-b22c-9c6b54966df3
SEACの結論:「RACの結論を考慮し、SEACはこの制限案を支持する根拠をもたない」
SEACは彼らの意見書案に対し2012年9月3日までに利害関係者からのパブリックコメントを求めました。
http://echa.europa.eu/en/view-article/-/journal_content/2e01920a-31e3-40f3-8cb7-85af5906a324

可塑剤工業会も後述するようにこのパブリックコメントに対し意見書を提出しました。

関係者の情報を集約すると、現時点で、デンマークによる提案は棄却される見通しが大きいようです。

SEACは上記パブコメを受けて2012年12月15日までにECHAとして意見を集約し欧州委員会に提案。欧州委員会ではこの提案を受け、デンマーク制限提案による法改正又は棄却について遅くとも来年3月までに決定する予定です。

以上の状況から、今後DEHPに対するREACH上の注目点は認可(Authorisation)申請とその取得の帰着に焦点が移っているようです。

ご存知のように、DEHPは昨年2月、高懸念物質(SVHC)から「認可対象物質」に指定されました。認可申請期限が来年2013年8月21日となっています。これに対し欧州可塑剤工業会低分子フタル酸エステルグループはタスクフォースを組んで鋭意申請準備中です。可塑剤工業会もこのグループとは常に情報交換を密にしその進捗状況把握に努めています。2010年末このグループが来日し、関係各ユーザー様方にはご説明をさせていただきましたが、現時点でも、認可申請でカバーした成形品(用途)について認可取得を確信しています。今後強力な代替品の出現がない限り、認可を得て2015年2月21日の日没日(sunset date)以降も継続使用を期待しています。

当該取り進めに当たり、特にECHAへの意見書提出では、国内外関係各機関の方々のご協力を賜りこの場を借りて感謝申し上げます。