可塑剤のSDS

アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)のSDS改訂について

「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)施行令の一部を改正する政令」が2021(令和3)年10月20日に公布され、化管法の対象物質が2023年(令和5)年4月1日から変更されることになりました。この時に、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)が第一種指定化学物質に指定されました。

DOAについては新たな毒性が見つかった訳ではないことから、可塑剤工業会としても当局に対し、同法の見直し基準と整合性が取れないことなどを根拠にパブコメ(2020年3月13日提出)等で意見具申を行ってまいりましたが、現状に至っております。引き続き状況を注視し適切な対応を取っていく所存ではありますが、SDSについては見直す必要がありますので改訂を実施しました。

SDSの改訂(2020年4月)

経済産業省、厚生労働省、環境省をはじめとする関係省庁では、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に則り約4300物質について分類・評価し、NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)がGHS分類結果を2006年以来逐次分類・公表しています。政府によるGHS分類は、事業者がラベルやSDSを作成する際に参照してもらうことを目的としています。

可塑剤工業会は日本でSDSの提供を義務付けている法律「化管法」、「安衛法」の対象物質であるDOP、DBP、TCPに加え、対象外であるDINP、DIDP、DOA、DINA、TOTMを含めた計8物質について、2006年(国連GHS文書第1版(2005年))、2013年(国連GHS文書改訂第4版(2011年))にこれらの化学物質のSDSを独自に作成して参りました。このたび(2020年)、国連GHS文書改訂第6版(2015年)に対応した最新のJIS Z 7252/7253(2019)に準拠した可塑剤工業会SDS改訂版を公表致します。

SDSへの記載内容は改訂時点で入手できる資料、情報、データに基づいて作成しております。含有量、物理化学的性質、危険・有害性等に関しては、いかなる保証をなすものではありません。また、注意事項は通常の取扱いを対象としたものであり、特殊な取扱いの場合には、用途・用法に適した安全対策を実施の上、ご利用ください。

また 、実際のお取扱い、ご使用に際しては、ご使用になる製品のメーカーから発行されたSDSをご覧下さい。

GHS対応SDS

  1. フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)
  2. フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
  3. フタル酸ジイソノニル(DINP)
  4. フタル酸ジイソデシル(DIDP)
  5. アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)
  6. アジピン酸ジイソノニル(DINA)
  7. トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(TOTM)
  8. リン酸トリクレジル(TCP)

英文SDS

2008年10月28日に欧州化学品庁(ECHA)がDOPを高懸念物質(SVHC)候補に指定した際、情報伝達の義務の一助として英文SDSを作成しました。

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)

GHS分類への可塑剤工業会掲載内容についての論拠詳細

GHSによる危険有害性の分類は、本来各企業、各業界団体で行うべきものとなっています。NITEが公表した分類結果の意味合いは、あくまでラベル表示やSDS作成のための参考例であり、NITEの公表内容と異なる表示やメーカーが独自のSDSを作成することを妨げるものではないことがNITEのHPにも明確に謳われています。

可塑剤工業会は、この趣旨に沿い、今般改訂された国連GHS文書第6版(2015年)に対応したJISZ7252(2019)の「GHSに基づく化学品の分類方法」に記載された分類・判定理論に基づき、さらには最新の安全性の研究結果の情報も加味し見直しを行っております。

なお、分類の結果につきましては、改訂前のSDSの分類結果を踏襲して作成しており、今回の見直しによる重篤な方向への区分の変更はありません。

また、可塑剤工業会のHPに新たに掲載した対比表の各化学物質のNITE分類の結果につきましても、公表されている最新の情報(2020年4月17日現在)を参照し作成しております。

GHS分類比較表

  1. フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)
  2. フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
  3. フタル酸ジイソノニル(DINP)
  4. フタル酸ジイソデシル(DIDP)
  5. アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)
  6. リン酸トリクレジル(TCP)